想 sougetu 月
 どうしても出来なくて泣きながら何度も首を振っていると、斎はため息をつく。

「……まったく、しょうがない」
「な……なに?」

 斎の導いていた手が持ち直される。

 何をしたいのかわからず、されるままでいると、斎が私の指に自分の指を絡ませて花芽をいじり出した。

「あ……違う……いあ……」
「ほら、一緒に動かして」

 触りたくないのに斎が指を動かすと私の指も動き花芽が擦られ潰さりして快楽が湧き上がる。
 緩慢なピストン運動と花芽をいじられることによって、快感はさっきより強くなったがやっぱり物足りない。

「あん……はぁ、あ……ああ」
「気持ちよくなった?」

 私の中でゆっくりとした動きをする斎が耳元でくすくすと笑っている。
 もっと強い刺激を求めて腰が勝手に動き出す。

「月子の中、吸い付くみたいに蠢いてる。腰も動かしたりしてまだ足りないんだ?」
「ん……、はぁ……い、斎……いじわるしないで……」
「意地悪? 体しかくれない月子はどうなんだよ?」

 斎の言葉が2人の関係を秘密にしていることと、好きだと言わないことを言っているというのはすぐにわかった。

「だ……だって……」
「だって?」
「……」

 聞かれても本当のことなんて言えない。
 斎を好きな気持ちなら誰にも負けないのに、それを言葉にしたらもう歯止めが効かなくなるのはわかっていた。

 苦しくって悲しくって涙が止まらない。
 
「月子、ほら、俺の名前を呼んで」
「あ……、斎」
「もっと」
「斎……」

 何度も斎の名前を呼ばされる度に、私の体ですら斎のものなんだと教え込まれていった。

 その後、執拗なまでに緩慢な動きを続けられてもどかしい快楽を送り込まれ、イキそうになると斎は動くのをやめてしまう。
 イキたくてもイけない苦しさに身をふるわせる度、斎は嬉しそうに笑っていた。

 長時間にも続く苦痛の攻めを受け、散々泣かされ苦しくて斎に請うた末にやっとイクことが許された。

 やっと迎えることが出来た昇天は天国と言うより、悪魔のような快楽を植えつけられたような気がする。
 でも、最後に思ったのは苦痛より、斎を失いたくないという想いだった……。
 
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