ケータイ小説 『肌』 著:マサキ

「今ミオは、俺に再会したばかりで冷静じゃなくなってる。

そんな時に考えてもらっても、俺は困る。

後悔させたくない。

冷静になって、もう一度考えて」

「マサキ……」

「まだ先の話だから実感ないかもしれないけど、結婚した時のことも視野に入れてみて。

医学的に、受精は可能だ。

体外受精もできる。

でも、ミオとセックスをして子供を産ませてあげることができない。

それに、一生、その綺麗な体を抱いてあげることはできない。

女性として生まれたよろこびを、感じさせてあげることはできない。

いつ肌を合わせても、今みたいに、挿入手前で中断することになる。


ミオはさっき、言ったよな?

高校の時みたいな関係に戻りたいって。

今の俺には、それを叶えることも無理なんだ。

ミオが求めるほとんどのものを、満たしてあげられない」

「そんなの……」

「『重要じゃない』って、言い切れる?

……同窓会の時、ユキリンの結婚報告を聞いて、ミオ、うらやましそうな顔してた。

俺は、そのことが頭から離れない。

エッチの後、しっとり幸せそうにしてたミオの表情が、忘れられない……。


ミオがちゃんとした男と付き合えるように、俺はあの時、別れを選んだんだ。

よく、考えてほしい。お願いだから」










《Ⅳ 明かされた…終》

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