ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
「大人になる」とは、人生で得たマイナスとプラスをバランス良く積み重ねていくことなのだろうか。
だとしたら、私の成長度は、アンバランスなものに違いない。
マイナスばかりが蓄積されて、プラスが見えなくなっている。
そんなことを思ったのは、同窓会の翌日。
夏休みが、残り10日を切ってしまった。
しめった夏の夜。
愛知の名古屋住みとはいえ、ビルの少ない田畑の多い土地に住んでいるから、夜や早朝には虫の鳴き声が聞こえてくる。
今夜は、やっぱり眠れない。
エアコンのきいた自室のベッドを抜け出し、窓を開け、外のなまぬるい空気を頬に受けても、私にとって、ここが現実だとは思えなかった。
現実だと思いたくなかった。