逢いたくて
「えっ?」

「咲のこと好きで好きでどうしようもなく好きなんだ。咲といたいから気持ちを言わないことも考えた。でも…言わずにいられなかった」

「どうして?…私を雨の中助けてくれたのも…この家においてくれたのも…全部なんで?」

「初めは本当に人助けのつもりだった。自分へのためしでもあったんだ。でもすぐ咲を好きになった。」

涙が自然にあふれる

涙を大きな手で拭いながら渉は困ったように笑った

「ごめん。困らせたよな…。忘れて。今まで通りにしよう。本当…ごめんな」

ぽんぽんと頭を撫でる渉

「いやだ…」

「ん?」

「忘れない…。そんなこと言わないで…」

泣きながら話す私に渉は戸惑っていた

「今まで通りなんて無理…」

「そんな!ここに居てほしい。…咲」

「だって好きだから…。」

「ん?」

「私も好き。大好き。」
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