束縛+甘い言葉責め=溜息
 「働かせない」と言い負かされるのが怖くて、身構える。

 予想通り吉住は、ゆっくりドアを開けて中に入ってきた。

「…………」

 ベッドの布団に潜り込んでいる私に、何も言わずに優しくキスしてくる。

 どういう心変わりだ、と戸惑っていると、

「きちんとした職場には必ず男がいる。
 そんなどこの馬の骨とも知らない男が、真紀さんを見て、どんな風に思うのか、教えあげようか?」

 吉住は見つめて言った。

「……何?」

 意味が分からなくて、ただ見つめ返す。

 吉住は、こちらのことなど気にせず、ゆっくりとベッドの中に入ってきた。

「……下で……寝てるっ……」

 キスをしながら、優しく愛撫が始まる。

「大丈夫、今見てきたから。まだ起きそうになかったよ」

 だが、少し気になり、焦る気持ちもあるのか、先にティシャツの下の下着のホックだけを片手で外した。

「時間がないし、人にばれないようにってね、こんな風に、服の上から触って立たせる」

 一体何が言いたいの!?と思ったが、そのセリフは出ず、逆に足の指先に力が入る。

「ここが好きなんだね……って優しく囁かれたりしてね……」

 耳たぶを甘噛みされながら、更に両指でティシャツ越しに浮き出た突起を摘ままれ、すりあげて更に固くする。

「ダメだな……。自分で言いながら、腹立ってくるよ」

 吉住は、身体を起こしたかと思うと、乱暴に自らのワイシャツとティシャツを脱ぎ捨て、ベルトも外し、ズボンと靴下も脱いだ。

「よっ……」

 私の身体を寝たまま横に向け、吉住も隣に横になり、背後から抱きしめる形をとる。

「ごめんね……結構腹たってる」

 吉住が1人盛り上がっていることは分かっていたが、それを阻止することもできずにいた。

 左手はティシャツの上から、右手はジーパンのボタンとジッパーを外してその中へ、更に唇で耳たぶを優しく噛まれる。

 特に右手に意識が集中してしまって仕方ないが、ジーパンをずらそうとする気配は全くなく、下着の上から愛撫をすることで終わらせるつもりのようだ。

 そういう経験は今までにはない。

 勝手に自分の妄想で盛り上がってしまっている吉住を後ろに感じて、つい、少し足をずらしてしまう自分が情けない。

「良い子だね……。ちゃんと分かってる」

 そのほんの数センチの動作を完全に見抜かれたことに、身体がカっと熱くなった。

 吉住の右手の中指は、円を描いたり、上下に擦ったりを繰り返していく。

 左手も同じだ。上下に擦られ、もう目を閉じて、快感に意識を研ぎ澄ませることしかできない。

「真紀が言うこと、一つだけ聞いてあげるよ……。
 どれがいいかな」

 呼び捨てになったことに、ドキリとする。

言い出すことは検討がついていた。そっと目を開ける。

「このままあっけなくガクンと身体を揺らすか、それとも……」

「…………」

 私は中指に集中しながら、次の言葉を待った。

< 6 / 25 >

この作品をシェア

pagetop