猫が好き!


「わざわざ他人の家に忍び込んで、捕まるリスクを冒すより、ネットカフェにでも行くのが普通でしょ。シンヤくんをかばいたい気持ちは分からなくもないけど、偶然で片付けるにはできすぎてるわ」


 真純は言葉もなく俯く。

 シンヤを拾ったのは三日前の夜。
 彼は行く当てもなく途方に暮れて、道端に座り込んでいた。

 それは不正アクセスがセキュリティ会社に発覚して、ホテルから逃げ出してきたところだったのだろうか。

 翌日同じサーバに再びアクセスしたのは、真純に罪を着せるため?
 だったらなぜ、また戻って来たのだろう。
 そして今も、出て行かないのはどうして?
 黙り込む真純に、瑞希は淡々と告げる。


「ちょっと調べてみたんだけど、彼ね、アンダーグラウンドじゃ結構有名なハッカーみたいよ。主なクライアントは企業人。だから産業スパイみたいな事してたみたいね。個人相手には、色々怪しいツールや新種のコンピュータウィルスをネット販売してたようよ。ハンドルネームはシンヤ。真夜中に出没するからだって。奇しくも名前の由来はあんたと同じね」

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