身勝手な恋情【完結】

まぁ、確かにね。昨日は少し飲みすぎた。


この半年を費やしてきた大きなプロジェクトが終了しての打ち上げだったから、若い社員ばかりの飲み会は異常に盛り上がって、知らない人までどんどん人がお祝いに駆けつけてくるし、なんだかもうあとのほうはわけわかんないことになってたし。


だけどいくら酔っていたとはいえ記憶はしっかりしている。


社長に初めて声をかけられて――

そうだ。

『ウルサイからほかで飲む。付き合え』って言われたんだ。

で、二軒目に付き合って、そのまま帰るのかと思ったらタクシーは事務所へは戻らず、老舗ホテルと名高いブルーヘブンホテルへと向かって――



社長にやり逃げされるって……

このまま窒息死でもしたい気分。



最低。

本当に、最低……。


唇をかみしめるけれど。まだ、体の中には社長の熱が残っているような気がした。



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