《続》跡目の花嫁さん~家元若旦那の危ない蜜月~
私は男性を受付席に案内した。


「お帰り…桃」

「社長、今日は1日、内勤だよね。羽原さん」


「うん」


私はカウンターに入って、羽原さんと休憩を交代。


「名刺を拝見させて頂きます」


「名刺ね…」

男性はサングラスを外して、隠しポケットから名刺ケースを取り出した。


「はい」


切れ長の黒い知的な瞳に端正な顔、綺麗に整えた褐色の髪。



「(株)星凛堂・代表取締り役・濱部透真」


「えっ!?あの…濱部社長ですか?」


「ウチの秘書がいるって常務から訊いて…」
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