曖昧ショコラ【短】
「ご所望なら、また抱いてやろうか?」


「そんな事望んでません!」


「ベッドに行くか?それとも……」


絡み付くようにあたしの腰を引き寄せた篠原は、耳元に唇を近付けた。


「あのソファーがイイか?」


低く、甘い囁き。


ゾクリ、体の芯が疼く。


ドクドクと血液が駆け巡り、体温が急激に上がる。


一瞬で起こったそれらの変化の中、視線はソファーに釘付けになってしまう。


思い出すのは、2月15日の事…。


鳴いて、啼(ナ)いて、泣いて…。


篠原にドロドロに溶かされてしまった、あのほろ甘い夜――…。


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