曖昧ショコラ【短】
鮮明に蘇って来るのは、あの夜の情事…。


だけど、それは自分(アタシ)が経験した時の物なのか、それとも【失恋ショコラ】のワンシーンなのか、判断が出来なかった。


「鈍い鈍いとは思ってたけど、ここまでだったとはな」


混乱する頭の中に、篠原の呆れたような言葉が入って来る。


一体何の話をしているのだろうと考えるよりも早く、信じられない言葉が落とされた。


「そんなにわからねぇなら、もう一度抱いてやるよ」


まるで金縛りに遭ったように動かない体とは裏腹に、胸の奥がドクンと高鳴る。


目の前には、あの夜と同じように妖艶な瞳があった――…。


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