重なる身体と歪んだ恋情

タクシーに乗って。


「ねぇ、如月」

「なんでございましょう」

「如月の下の名前はなんていうの?」


……完全に懐かれたな。


「司(つかさ)と申します」

「司るのツカサ?」

「左様で」

「素敵な名前ね」


素敵とは思わないが、


「ありがとうございます」


と答えておいた。

その後も、


「兄弟はいないの?」

「弟が一人でございます」

「ご両親は?」

「もういません」

「あ、ごめんなさい……」

「構いません。もう8年も昔の話ですから」


質問攻め。

まるで子供の問答につき合わされてる気分だ。

そして、


「……千紗様?」

「ん……」


トンと肩に当たる彼女の頭。

見ればその瞳は閉じて。

車体が大きく揺れて、


「――っと」


彼女の身体が私の膝に落ちてきた。

それでも彼女の目が開けられることはなくて。


「完全に子守だな」


思わずそう口から出てしまった。
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