愛罪



 僕は、愚かだった。



 人間の痛みを、人間の裏を、知った振りをしていた。






 誰かのために本気で命を捨てられる人が存在するのなら、誰かのために本気で命を大切にする人もいる。

 当たり前のようで、当たり前じゃなかった。






 僕は、人間失格かもしれない。



 そんな風にさえ思う光景が、目の前には広がっていた。



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