椿ノ華



「着物、似合っている」

…え?

「行くぞ」

「は、はいっ」


慌てて着いて行ったが、
頭の中で葵の言葉がぐるぐると回っていた。


「…お兄様」


帰り道の車の中。


「……」

「着物、気に入りました。ありがとうございます」


返事は無いけれど。

葵の顔は、窓の外へと向いてしまっているけれど。

それでも、葵の方をじっと見詰めて告げた。



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