長い夜の甘い罠【完】
十、真実の瞬間


「…ん」


ほんわか暖かい温もりに包まれ目が覚めると、男の腕の中で寝ていた。

繋がれていた筈の手の軽さに気付き視線を向ければ、いつの間にか手錠が外されている。

寝ている間に外してくれたのね。

男の腕からそっとすり抜け、疲れているのか寝息を立てるその姿をじっと見つめた。

捨ててやろうと思ってたのに、男は全然動じなかった。

この計画は失敗に終わった。

悔しいけれど、何だかあっけらかんとしていてよく分からない気分だわ。


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