Octave~届かない恋、重なる想い~
 二人きりの時は、呼び捨てにしようか、と提案したのは雅人さん。

 今、この状態でそれを実行に移されてしまって、私はますます固くなる。

 そんな私の様子を見て、ますます彼は面白そうに笑っている。


「可愛いな。
 俺、子どもは可愛がれないけれど、結子は可愛がれそうだ。
 そんなに初々しいと、デートしていても恋人には見えないだろうし、ここはやっぱり少し慣れてもらわなきゃな。
 ……ただし、子どもが出来る程慣れると色々問題があるから、この程度で」

「なっ、な……」


 私が抗議の声をあげようとした瞬間、その声の出口は、彼の唇で封印されてしまった。

 
 彼の胸を叩いても、しばらくの間、離してもらえなかった。
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