* another sky *

航太と付き合うようになって、だいぶ変わったと思ってた。

それこそ、何でも話してくれる航太。


「好きだよ。」も、「それは嫌だな。」ってことも、全部、口にして。


最初は面食らってしまったけど、自分がすごく狭い人間に思えてきて。

何だ、自分から垣根を取っ払えば、こんなにも楽なんだって、気付かされたんだ。


自分の感情を、ちゃんと言葉にして、出せるようになったかなって、なんて思ってたのに…。


まだ、足りないのかな…。

不安にさせてるの……?

どうしてそんな悲しい瞳をして、私を見てるの?


私はまた、失敗してる、…みたい。


「うわっ、―――。ごめん、ごめん。」


焦ったように、航太は私を抱き締める。


「玲、ごめん。泣かないで。」


―――――――。


「なんかさ、不安になっちゃって。
玲が離れていったらどうしようとか思ったらさ。」


「…っ。なんで、そんなこと思うの?」


「ごめんって。玲、本当に、ごめん。」


航太は私の涙を、そっと指で掠め取る。


だけど、―――。

混乱してしまった私は、涙が止まらない。


「ごめんって。な?」


「も、…わかんない……。」


「俺が悪かった。

だから、泣かないで…。」


航太の腕の中に、優しく包み込まれて、息を吐く。

温かな体温が、直接、伝わってくる。


ずっとこの腕の中にいたい。


それだけのことなのに。
< 133 / 769 >

この作品をシェア

pagetop