それでも、愛していいですか。

「苺のミルフィールよっ」

「はい?」

「先生が注文したの!苺のミルフィーユ!」

加菜は大きな声でそう言った後、しまった、大声出しちゃった、という顔をしたのに、

「うそ!!」

思わず奈緒も大きな声を出してしまった。

「ね、びっくりするでしょ!似合わないでしょ!先生が注文した時、みんなで顔を見合わせたちゃったもん」

「見たかったなぁ、先生が苺のミルフィーユ食べてるとこ」

奈緒は想像してみた。

やっぱり似合わなかった。

その時、ふと思った。

デザートを食べている時は、つい顔がほころんでしまうものだが。

「ねぇ、加菜」

「なに?」

「先生、笑顔見せた?」

「ん?ううん。ずっとあの調子で、ただひたすらみんなの話を聞いてただけだった」

「そっか……先生、なんで笑わないんだろうね」

奈緒がそう呟くと。

「奈緒。ひょっとして、本気?」

「え?え?な、なんで?」

「だって、見てたらわかるもん。きっと好きなんだろうなぁって」

そんな素振りを見せたつもりはなかったので、その言葉にうろたえてしまった。

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