撮りとめた愛の色



これといって何かを宣伝した訳ではないがオギハラ教室はそれなりに人気がある。


そしてそれは土曜日も例外ではない。寧ろこのオフィス街は土曜日に決まった休みがある会社の方が稀《まれ》らしいので、土曜はいつもより早い時間帯から子供達が来ることの方が多い。


でもやっぱり時間には波というものがあるようで、誰も彼も決まって昼時にはすぐに帰っていく。



「───ふう。今日はいつもより多いね、子供達が元気過ぎて少々押され気味だ」


首に手を当て疲労の色を滲ませ息をつく彼に苦笑いを向けた。


「お疲れさまです。今お茶淹れて来るけどお昼は?」

「うーん、すぐ出来そうかい?」

「さっきお米が炊けたみたいだったからすぐに食べられると思うけど」

「じゃあ、昼にしようか。確かこないだ貰った佃煮がまだあるはずだ」



言うやいなや、彼は機嫌良く着物を翻し台所へと踵を返す。今日の着物の淡い橙色は昼間の明るい部屋に良く映えていた。


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