もっと、さわって。
「なんで警察に突き出さねぇんだ!」


 降りた駅で、彼はまだ苛立たし気に叫ぶ。


「だって、私の勘違いかもしれないし……」

「んなわけあるか。俺だって見た! あの男が、オマエの!」


 私、の……

 その言葉に、嫌な感覚が蘇る。


「ごめんなさい……」

「なんでオマエが謝るんだ! ……ああっ、クソ!」


 大きな声にビクつく私に舌打ちをして、腕をつかんできた。


「ちょっと来い!」
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