ライラックをあなたに…


寿々さんが受講しようとしている通信講座は、家庭学習とスクーリングがあり、受講終了までの間に全課題を終了させればいいらしい。


スクーリングしながら、家で課題をこなし、資格を取得するという。


資格を取ったからといって、すぐにカフェが開ける訳でもない。

しかも、職を失う彼女にとって、生活して行く難しさは当然解っていると思う。


それでも、彼女が未来を見つめて考えた事。

俺はそれを全力で応援しようと思った。



ハーブティーを口に含むと、彼女がじっと俺を見つめて来る。


「ん?」

「人生80年ってよく言うじゃない?」

「ん」

「私27歳だから、80年生きるとしてやっと3分の1を過ぎた所だもん。まだまだ先は長いよね?」

「フフッ、そうだね」

「あっ、今、年寄りじみた事言ったって思ったでしょ?!」

「それ、被害妄想だよ?」

「ん~~っ!!」



寿々さんはまたプクッと頬を膨らませた。

そんな彼女が可愛らしくて、つい苛めたくなる。


そっと人差し指を膨らんだ頬にツンと当て、思わず笑みを零した。


「マジで可愛すぎ」


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