浮気は、いいよ。
ブランクのあるワタシを雇ってくれたのは、食品工場だった。
派遣だけど、ココで働けて良かった。
毎日疲れるから、よく眠れる。
お腹も空く様になって、ゴハンもしっかり食べる。
職場の人たちはみんな優しくて、シゴト自体も向いていた様で、毎日楽しい。
何より、ココの工場には賄いと寮がある。
助かる。
次のお休みに引っ越そう。
シゴトが終わり、ケータイを見ると沙耶香と悠介からメールが来ていた。
『内容証明届いた。 ワタシの慰謝料も幸太郎が払うみたい』
涙が、出なかった。
諦めがついた。
でも、沙耶香のメールに返信する気になれなかった。
『幸太郎さんに会ったよ。 優里もオレと何かあるんじゃないか⁇って誤解してたから、ちゃんと解いといてあげましたー。 ありがとうは⁇』
幸太郎は、ワタシには連絡もくれないのに、悠介とは会ったんだ。
離婚を切り出して、こんなにも露骨に避けられると思わなかった。
ワタシも浮気してれば、慰謝料減額出来ると思って悠介に会いに行ったのだろうか。
悠介のメールには、悠介のリクエスト通り『ありがとう』とだけ打ち込んだ。