◇桜ものがたり◇

 祐里のはなしに優祐と祐雫は、目を輝かせながら聞き入っていた。


「母上さま、その桜の樹が、この樹でございますか」

 祐雫は、桜の樹を見上げて祐里に問いかける。


「さようでございますよ。

 曾御婆さまが、よく父上さまと私に、このおはなしをしてくださいました。

 優祐さんも祐雫さんも桜の樹を大切にいたしましょうね」

 祐里は、濤子御婆さまが、幼い光祐さまと自分をこの桜の樹の下で、

 優しく抱きしめてくれたように、優祐と祐雫を一緒に抱きしめる。


「ぼくは、母上さまの次に桜の樹が大好きです」

 優祐は、祐里の胸の中で桜の甘い香りに包まれて呟く。


「祐雫だって」

 祐雫は、優祐に負けじと、

 大きな声を出して、祐里の胸に顔を摺り寄せる。


「ありがとうございます。

 優祐さん、祐雫さん。桜の樹が枝を揺らして喜んでございますよ。

 私は、可愛い優祐さんと祐雫さんが大好きでございます」

 祐里は、満開の桜と共にしあわせ満開の心地に浸る。



< 124 / 284 >

この作品をシェア

pagetop