◇桜ものがたり◇
 
 
 それから、六年の歳月が流れた。



 祐里は、あどけない少女から美しい娘へと成長し、

 間もなく十六の歳を迎えようとしていた。


 四月からは、町の女学校へ進学する。


 桜河のお屋敷では、十三年の間、旦那さまと奥さまからは、

 実の娘のように可愛がられ、

 奉公人達からは、祐里さまと愛(いつく)しまれていた。


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