月夜の翡翠と貴方【番外集】
適当にそれらを食べながら、楽しそうに、能天気そうな笑顔をしたルトを見つめる。
明るい深緑の瞳を細め、少し癖の入った茶髪の青年。
見た目通りの、元気のいい性格をしている。
私を、奴隷屋から買った主人。
「………ジェイド?」
じっと私が見つめていたからか、ルトは不思議そうにこちらを見た。
「……なんでもない」
「いや、なんでもないじゃなくて。俺は、どこに行くかって訊いてるんだけど。ジェイド、俺の話聞いてる?」
…そして、この翡翠葛の名前をつけたひと。
「聞いてる。どこでもいい」
「…いつもそうじゃん」
「だって、どこになにがあるのか、知らない」
十二歳で奴隷になった私には、生憎と地理に関しての知識は少ない。