聴かせて、天辺の青
「海棠君の歓迎会しないといけないね、そうだ、お花見と一緒でもいいかな? もうすぐ咲きそうだし」
顎に手をあてて、河村さんが首を傾げる。歓迎会とお花見を一緒にするのは失礼かもしれないけど、もう間もなく桜は開花するのだから一緒でもいいと思う。
うんうんと頷くと、彼が私を振り返る。
私が頷いてはいけない気がして、とっさに首を傾げた。河村さんみたいに。
彼はふいと目を逸らして、河村さんへと向き直る。ほんの少しだけ、彼の表情が緩んだように見えたのだけど気のせいか。
「はい、ありがとうございます」
答えを聞いた河村さんは、にこっと笑顔を見せる。
「よかった、決定ね。藤本君、悪いけど幹事さんお願いしてもいい? 他のパートさんにも聞いて日にち調整お願いね」
「はい、了解。来週ぐらいですよね?」
「うん、そうね。今週中には咲きそうだから、来週がちょうどいいかもね」
嬉しそうな河村さんを見て、海斗は口角を上げて頷いた。