上司と上手につきあう方法【完結】
やりなおしたい?
「そんな、馬鹿なこと、言わないでよ……」
思わず声が震える。泣き出したい気持ちを抑えるのが精いっぱいだった。
だって、おかしいよ、そんなの。いったい今更なんだっていうのよ!
「確かに馬鹿だったよ。だけど再会して、チャンスだと思ったから」
朝陽は穏やかにささやく。
初めてちゃんと付き合った男が朝陽だった。そして彼が私の初めての男だった。
一方的にフラれて、傷ついて。もう、恋愛なんかどうでもいいと割と本気で思わされた、そのくらいショックを受けた男だった。
けれどもしかして私は、自分より一枚も二枚も上手な、とんでもない男に過去、恋をし、魅入られてしまったのだろうか。
絶対に、ろくなことにならないことはわかっているのに……
私はただ茫然と、朝陽に抱きしめられたまま、懐かしい体温に身を委ねていた――。