上司と上手につきあう方法【完結】

永野部長は、たいていの女子が一目で「カッコイイ」と判断するのに十分な、端正なたたずまいをしていた。


少し短めの黒髪に、切れ長の奥二重の瞳。

頑固そうな鼻筋と唇。そしてシャープな顎のライン。


いつも難しそうに眉間にしわを寄せ、彼が笑ったところなど一度も見たことがない。
けれどそれもまた彼の神秘性を高めているような気がする。

とにかく、容姿端麗というか、眉目秀麗というか、四文字熟語の雰囲気の彼に憧れている女子社員は少なくなくて、彼は社内恋愛はしない主義なのか、それともよそに恋人がいるのか、社内で噂の域を出るほどの親しい付き合いをできた女性はいない。



といったって、私には関係ないけど――。


永野部長。カッコイイし仕事が出来るのもわかってるけど、彼には甘さが足りない。

私はうんと甘やかしてくれる、優しい男が好きなんだから……。



――――……



< 4 / 361 >

この作品をシェア

pagetop