私は彼に愛されているらしい2
そうか、合コンのことを言ってるんだ。

そのあとの出来事が濃厚すぎて有紗はすっかり忘れてしまっていた。

そういえば最悪な気分にさせられた合コンだったと思い出して人相が悪くなってしまう。

「あらやだ怖い顔。」

「あー…舞さん、私合コンは不発に終わったんです。」

「不発?じゃあ彼氏って…えっ!?」

伝わったのだろうか、そう思って舞を見れば口パクで感想を述べていた。

マジか。

年齢の割に若い感覚を持ち合わせている舞さんの言葉に有紗は思わず苦笑いをしてしまう。

「お察しの通り、ですかね。…大輔と付き合うことになりました。」

「えーっ?ちょっと、えーっ?」

「まあ色々有りまして…舞さんが言ったように、とりあえず付き合ってみようかなと思ったんです。」

「…は?私がって…。」

「持田さん、準備は出来た?」

話が盛り上がりそうなところでお目付け役といっても過言ではない、有紗の教育係である東芝が颯爽と登場した。

戻るなり椅子にかけてあった作業服を羽織りながら舞の存在を確認する。

「はい。」

「おはようございます、吉澤さん。じゃあ行くよ。」

「はい。それじゃ舞さん。」

東芝への挨拶に被せて有紗が返事と共に机の上に置いてあった荷物を手にして立ち上がった。

かけてあった社名入りの作業帽子をかぶって作業服を羽織る、どうやらこれから2人で工場に行くのだとその姿で舞は理解した。

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