車椅子から見える愛

父はほとんど病院にいたわ。


母は病院通いもしなくてはいけなかったの。


初盆。


この日は父も帰ってきたわ。父はもう私を抱っこできないくらい弱くなっていた……。


ちゃんと治療すれば治る病気なのだけど、涼太のことでかなり精神的に参ってるようだった。


初盆にもたくさんの人がきてくれた。


学校の先生も。あの教頭先生も。


「学校では涼太くんのことを忘れないようにしよう。ということで、涼太くんの月命日を命の日として、毎月生徒たちに話をしています」


教頭先生が言った。


母の耳にはあんまり届いてないような感じだったわ。


何をしても何を考えても、もう涼太は帰ってこないのだから……。


どうして涼太なの?


どうして私たちなの?


わからない……。


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