もっと傷つけばいい
――じゃあ、望んでみようか?

ソウはあたしに住むところとお金をくれた。

ポンと、差し出すようにあたしに簡単にくれた。

もしかしたら、“愛”だって簡単にあたしにくれるかも知れない。

そうなんでしょ?

あたしにくれるんでしょ?

住むところとお金をくれたように、愛だって簡単にくれるんでしょ?

不思議と、それに対して後ろめたさはなかった。

むしろ、ソウに対する期待の方が勝っていた。

境界線を越えたのは、ソウの方よ?

だから、期待したっていいでしょう?
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