雨の日に、キミと一緒に創るエロ。

  一気にパスタを食べ終えて、いざお会計。

 レジに行き、鞄から財布を取り出すと、

 「僕に奢らせて」

 と、支払いをしようとしたワタシを流山先生が優しく制止した。

 「イヤ、でも『外で食べたい』って言ったのはワタシですから」

 連れ出しといて奢らせるって・・・さすがにタチが悪い。

 「んー。 でも、僕の方がお金持ちだし」

 流山先生が、息子たちをも納得させた言葉をワタシにも使った。

 「あー。 奢りだったらドルチェも注文すれば良かった」

 素直に『ご馳走様です』というのも何だか図々しい気がして、わざとふざけてみると、

 「やっぱりドルチェもおいしいんだぁ、このお店。 ちなみに何がお勧め??」

 スイーツ大好きな流山先生が、興味深々に聞いてきた。

 ・・・イヤ。 ちょっとふざけてみただけなんですけど。

 ドルチェ、注文したこともないから、ぶっちゃけ何があるかも知らないんですけど・・・。

 「ティラミスとハバロアが人気ありますね」

 返事が出来ずに笑顔で固まるワタシを見兼ねてか、レジに立っていた白木氏が口を開いた。

 「わー。 僕、甘いモノ大好きだから食べてみたいなー。 お持ち帰りとかは、やっぱりやってないのかな??」

 流山先生は、いたくこの店の味が気に入ったらしい。 持って帰ってまで食べたいとは・・・。

 「申し訳ありません。 そういったサービスは・・・」

 白木氏が言葉を濁すと、

 「そうですよね。 じゃあまた今度改めて食べにきます」

 流山先生が超残念そうな顔で笑った。

 こんだけ流山先生がこの店を好きになってくれたというのに・・・。



  「・・・融通利かねぇなぁ」
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