復讐のkiss
暗闇の中で、

誰に気付かれることもなく、

私は一人、声も出さずに泣いていた。

・・・

皆、どんな思いで、闘っているんだろう。

こんな苦しい思いを抱えて、

剣を握っているのか?


私の父が、戦を嫌っていたのは、

こんな思いを抱くからなんだろう・・・

戦のない、平和な国。

父がずっと闘う事をせず、守ってきた

ジェヘティ王国。


その国に住む民衆も、王族も、

皆が幸せそうだった。


何かあれば話し合う。

そんな世界になればいい・・・

こんな戦は、なくていい・・・


「・・・泣いてるのか、ミラ?」

後ろから突然声をかけられ、

私は慌てて涙を拭った。



「・・・泣いていません」
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