東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
眉目秀麗…



御堂中尉殿の顔は女形のように綺麗な品があるけど。

化けの皮を剥がせば…街をうろつく獰猛な野良犬。


品の欠片なんて全くない。


軍人の男性は本当に野蛮な生き物だ・・・



私の唇に重なった彼の唇ーーー・・・



奪われた唇の記憶が甦った。


その途端、身体の奥に眠った卑しい官能的な感覚が沸きがってきた。



頬に集中する熱を冷まそうと両頬を手で覆う。



「…」



私は心の奥底から彼の素行に嫌悪感を抱いていたはずなのに。


彼に心を巣食われていた。


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