砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
「我が側近、カリム・アリーの妻となれ。――カリム、お前にレイラー王女を下げ渡す。ありがたく受け取れ」


その場にいた全員が息を飲む。

そして誰かが口を開く前にサクルは続けた。


「異論は聞かぬ。流砂の谷で遊びたい者のみ、名乗り出よ」


レイラーは一瞬目を見開き、そのまま失神した。スワイドも返す言葉が思いつかないようだ。

カリム・アリーだけ「御意のままに」と短く答えた。



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