サヨナラのしずく
わかってたよ。



いつか俊平には話してしまう日がくるってこと。



別に話たくないわけじゃないけど、怖いんだ。



優しくされて、話して、心をひらいて、期待して…そして裏切られるより何より寂しい思いをすることが怖い。





「……わかった。話すから静かなところへ行きたい」




夏休みのせいもあって繁華街は若者やサラリーマンたちがいっぱいいて賑やかだ。



こんなところじゃゆっくり話せない。




「ホテルでいいか?」


「え?」


「何もしねぇよ。ただ話を聞くだけだ」


「うん」




あたしはどう話そうか考えながら、ラブホ街を歩いていた。





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