アロマな君に恋をして

「よし、ちゃんと乾いてる」


ある夜、仕事から帰るなり机の上で三日前から乾燥させていた小さな粘土を撫で、俺は微笑んだ。

そのまま机に向かい、引き出しから彫刻刀を取り出すと、まだおぼろげにしか形のない粘土に、命を吹き込んでいく。

作りたいのは、寄り添うように座る二匹のクマ。

小さい方がなずなさん、大きい方が俺。

これに色をつけて、白やキラキラ光るチップと一緒にガラスのドームに閉じ込めて――

そう、なずなさんへのクリスマスプレゼントは、手作りのスノードーム。

アクセサリーも考えたけど、なずなさんは普段何も着けてないから趣味がわからないし、初めて贈るプレゼントだから何か特別なものにしたかった。


「……今日はここまでにするか」


俺は彫刻刀を置くと椅子に座ったまま大きく伸びをして、机の電気を消した。

クマは女の子の方だけがクマらしい形になり、独りぼっちで少し寂しそうだ。


クリスマスまで、あと二週間。

完成したスノードームを見て微笑むなずなさんを想像すると、それだけで胸があたたかくなる。

時間はあるから、できるだけ丁寧に作ろう。

二人で過ごすクリスマスが、大切な思い出になるように……


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