同期が急に変わったら…。〜将生side〜



俺が営業に異動して、

しばらく経った頃。





営業1課での、飲み会があった。






その日、無礼講という事で、

部下達もたっぷり飲んで楽しんでいた。





そんな中、

いずみも同僚達と楽しく飲んでいた。

いずみの横に座り飲んでいた小泉。

俺達の2つ年下の小柄な男だ。

こいつが悪酔いした。






いずみにデレデレとからみ、

肩に手を掛けるわ、抱きつくわ、

まあ、見てられない醜態だった。






いずみは、

ずっとニコニコ笑っていた。

小泉を気遣い、何か言っては、

背中をポンポンと軽く叩いていた。





そのうち、

小泉はエスカレートしたのか

いずみに




『桐谷さ〜ん、俺と帰ろ〜。』




と、抱きついて離れない。






俺は課長として、




『小泉。お前、いいかげんにしろ。』




と、注意をした。





が、いずみは、




『課長、大丈夫ですよ。
たまに、こうなるんです。
小泉も、色々あるんですよ。
課長は、気にせず楽しんで下さい。』





と、優しい笑顔で、そう言った。






俺は、いずみがそう言うならと、

それ以上は何も言わずに見守った。






小泉は、

結局、飲みすぎて気分が悪くなり、

トイレまで間に合わず

廊下で戻してしまった。

見事に。

いずみの肩を借りながら。






『あ〜あ、間に合わなかったね〜。
俊介〜、おしぼり〜!』





と、いずみは笑って、宮野を呼んだ。







その後いずみは、

宮野に小泉を任せ、

店員に謝りながら

汚物の片付けを手伝っていた。






俺が駆けつけると、




『課長が動くと、皆も気を遣います。
課長は席で、皆と話をしてて下さい。
こっちは、大丈夫ですから。』





と、いつもの笑顔で話し、

俺の身体を、

自分の身体でズイズイと押した。

汚れた手を使えなかったんだろうな。






いずみとは、よく飲みに行くが、

こんないずみを見たのは

初めてだった。






同僚に絡まれるいずみも、

イヤな事を、当然のようにやる姿も。

全く怒りもせず。






まあ、悪いヤツとは思ってないが、

改めて、

こいつは、いいヤツなんだと思った。





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