【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜

花菜子が羨ましいと思った。

大好きな人の子どもを宿して

大好きな人の戸籍に入り

大好きな人の苗字になった花菜子が。

私には見えるよ…。

今の花菜子の周りには
 
たくさんの花が咲いているのが…。

美しくて、眩しくて

永遠に枯れない色とりどりの花が…。

大好きな菊田さんと結婚出来た

幸せ絶頂の花菜子のように

私も満君といつか

結婚出来る日は来るのかな?

プロポーズして貰えるのかな?

永遠に枯れない花が咲く日が

来るのかな?

勿論、夫になる人は満君がいい。

満君しか考えられない。

ずっと好きだったんだもん。

兄の親友だった満君の事が…。

「早く満が羽美花の旦那に
なってくれたらいいのに。
それなら、俺もスゲー安心なのに。
早く、野村家と笠置家との
家族ぐるみの付き合いしてーな。」

と、兄の奏翔から

帰省の度にそう言われる。

私もそう思ってるよ。

だから、満君…。

言って欲しいよ。 

満君の口から聞きたいよ。

ーー『結婚しよう。』ーーって。

永遠の愛を誓い合いたいって 

約束して欲しいよ…。

不安でたまらないの…。

私だけを見て欲しいの…。

満君の天使になって

満君のココロに

たくさんの愛を咲かせたい。

だけど、私は怖い…。

私と出会う前に

満君と付き合っていた豊島さんに

盗られてしまうんじゃないかって…。







そんな私に

神様は微笑んでくれなかった。

……暗雲の始まりだった。

この後、私達の愛の花が

忍び寄る影によって

じわじわと毒に冒されて

蝕まれようとは夢にも思わなかった。











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