Treasure~もう一度、恋~
…そっか

今まで引っかかっていたものが、ストン、と落ちた気がした。




「ありがと、陽子」

「いーえ」

「あたし、陽子が友達で本当によかった!」

「…」

「ん?」

「…あたしが男だったら、絶対あんたにホレてるわ。」




ランチを終えて、オフィスへと向かう。

足取りは、軽い。

バッグから携帯を取り出すと、メモリに入ったばかりの番号を呼び出して、

発信ボタンを押した。




出れないかもしれない

でも

早く、伝えたい

声が、聞きたい




『もしもし?』




10コールの後、聞きたくてしかたなかった声が聞こえてきた。




「…ごめん、仕事中じゃなかった?」

『撮影中だったんだけど、休憩入ったから携帯見たらちょうど電話なってたんだよ』

「すごい、偶然」



嬉しくて、つい笑顔になってしまう。




『偶然っていうか、すげー確率。奇跡だな』




彼は、何気ない一言で

こんなにも、あたしを幸せにしてしまう




「瞬、この前の話なんだけど」

『…うん』




すう、と息を吸った。




「一緒に、暮らそう」






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