愛し*愛しの旦那サマ。


「大丈夫か?」


ベッドに力なく横たわる私に、臣くんが声をかけてくれる。


「だ、だい゛じょ……ゴホゴホッ……ぶ」

「熱は?」

「さ、さんじゅうはち度よん……」


38.4……384……無理矢理語呂合わせすると、サチヨにならない?

熱のせいか、そんなどうでもいい考えが思考回路の八割をしめる……ホント、どうでもいい……


「お、臣くん、臣ぐん゛……」

「何だよ」

「は、初……日の出……もう゛出た?」

「……十時間ほど前に出たけど」


じゅ……十時間?!

じゃあ、今は……


「ちなみに、もうそろそろ日が暮れるけど」


そんな臣くんの言葉に、ベッドの脇にある置き時計を見ると、午後五時前だった。


えっと―…

たしか、昨日は行く年来る年が始まる少し前に、頭痛や節々の痛さと格闘しながら、何とか年越し蕎麦を湯がこうとキッチンに立とうとしたときに、力尽きて……


す、すごい。

そんな長時間寝てるなんて。

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