スイートナイト
優への未練は、もうなかった。

彼に出会って、彼を好きになった自分に会いに行けることができるなら言ってやりたい。

そんなバカな男と結婚したって自分が苦しい思いをするだけだ、って。

優よりも好きな男の人が現れるからその時まで待った方がいい、って。

好きなものは食べられない。

やりたいことは我慢しないといけない。

ましてや遊びに行くことなんて許さない。

何もかも全てを犠牲にしても、そんなものはムダな努力だった。

もしかしたら優は、私に仕事とウソをついては“セリナ”と言う女と会っていたに違いない。

私には巽が、優には“セリナ”がいる。

離婚するには、お互い好都合だ。

もう我慢なんかしなくていい。
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