スイートナイト
巽くんが驚いたと言う顔をした。

「私、もう巽くんに会わないから。

店にもこないし、もうこうして2人で会わない。

アドレスも削除する。

だから、だから…」

自分でも何が言いたいのかよくわからない。

「周りには私がウソつき女だったとか、騙されたとか…そんなこと言っても、私が悪いから。

私がウソついて…」

もう1度、巽くんを見つめた。

「本当に、ごめんなさい!」

躰を2つに折って謝罪をすると、
「静希さん!」

私は彼の前から逃げ出した。

いいんだ…。

もう、これでいいんだ…。

名前のことや結婚していることをちゃんと巽くんに話した。

いつかは話そうと思ってたことだったから、それが少し早くなってしまっただけ。

これでいいんだ…。

私は何度も心の中で言い聞かせた。
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