極上エリートの甘美な溺愛

「ほんとに7時に来たんだね」

水曜日の朝。

自分の家の前に立つ将平を見て、玲華は驚きの声をあげた。

それは、ちゃんと時間通りに来てくれたことがあまりにも嬉しくて、その気持ちを隠すための照れ隠し。

それでも、ほんのり赤くなった頬や、幸せそうに目を細める表情を見れば、玲華の気持ちは将平に筒抜けだ。

将平も、そんな玲華の様子に気をよくし、ほっと安堵の息を吐いた。

玲華と食事に行ったあの日、玲華が引きずっていた予想外の思いを聞かされた。

強い口調とはっきりとした意志で告げられた玲華の切なさに将平は驚き、そして、自分が経てきた自慢できない過去をも口にした。

気まずい空気が流れたひと時を何度も思い出しては、自分の過去を悔やんでいた。

玲華が今日の約束を断ってくるかもしれないと不安に思いながら過ごしていた数日、スマホが鳴るたび緊張し、夕べもよく眠れなかった。

そのせいか、約束の7時よりもかなり早くから、玲華の住むマンションの近くのコインパーキングに車を停め、車内でそわそわしていた。

そして、ようやく7時になり、玲華の部屋のインターフォンを鳴らしたのだ。



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