ラストバージン
「教師だろうと、看護師だろうと、人に何かを教えるのはどんな職業でも大変だと思うよ。教えるだけで終わりじゃない。教える為には、相手をよく見ないといけないんだから」
「私、今まで指導して来た後輩達の事も、実はちゃんと見れていなかったかも……」
今となってはわからない事だけれど、過去に面倒を見て来た後輩達への指導は間違っていなかったのかと、不安になってしまう。
ため息混じりに遠くを見つめた私に、榛名さんが柔らかい笑みを向けた。
「それはわからないけど、結木さんなら後輩達ときっちり向き合って来たんだろうし、少なくとも出来る限りの指導はしてあげられたんじゃない?」
彼は、決して無責任な事は言わない。
『そんな事ないよ』なんて簡単に否定したりはせず、だけど何故か私の心を軽くしてくれる。
そんな榛名さんにとって、もしかしたら教師は天職なのかもしれない。
「榛名さんって、相談に乗るのが上手いよね」
「そうかな?」
「うん。すごく親身になってくれるけど、無責任な事は言わないでしょ。さすが榛名先生」
「こらこら。先生って言うなよ」
フフッと悪戯っぽく笑うと、榛名さんが眉を小さく寄せてため息をついた。
「私、今まで指導して来た後輩達の事も、実はちゃんと見れていなかったかも……」
今となってはわからない事だけれど、過去に面倒を見て来た後輩達への指導は間違っていなかったのかと、不安になってしまう。
ため息混じりに遠くを見つめた私に、榛名さんが柔らかい笑みを向けた。
「それはわからないけど、結木さんなら後輩達ときっちり向き合って来たんだろうし、少なくとも出来る限りの指導はしてあげられたんじゃない?」
彼は、決して無責任な事は言わない。
『そんな事ないよ』なんて簡単に否定したりはせず、だけど何故か私の心を軽くしてくれる。
そんな榛名さんにとって、もしかしたら教師は天職なのかもしれない。
「榛名さんって、相談に乗るのが上手いよね」
「そうかな?」
「うん。すごく親身になってくれるけど、無責任な事は言わないでしょ。さすが榛名先生」
「こらこら。先生って言うなよ」
フフッと悪戯っぽく笑うと、榛名さんが眉を小さく寄せてため息をついた。