ラストバージン
Count,01 タイムリミット
思えば、昔からいつも、私には何かが足りなかった。


勉強も運動もそれなりに出来たけれど、得意科目のテストで回答欄を間違えて自己最低点を取ったり、小学校の運動会のリレーの時には一位でゴールテープを切る寸前で転んでしまったり……。


三年間、学年で五位以内の成績に入る事を目標に努力していたのに、中学でも高校でも三年生の最後のテストの最終日に熱を出して、結局は入れなかったり……。


そんな悔しさばかりを感じる〝惜しさ〟は、恋でも同じだった。


思春期にはそれなりに恋もしたし、周りの友達に彼氏が出来始めた頃には自分にも同じように出来た。


だけど……ライバルに先を越されたり、記念日や誕生日の直前に振られたりという失恋も、決して少なくはなかったのだ。


この不運は神様の悪戯なんじゃないか、なんて事を本気で考えた事も一度や二度じゃない。


それは就職してからも健在で、仕事は比較的上手くいっていたものの、恋愛だけはどうにも上手くいかなくて。


大切な日の直前に振られる事があったのはもちろん、数年前にはとうとう恋愛のせいで退職するはめになってしまった。


以来、私の恋心は固く閉じてしまい、今のところその最低な恋愛が私の最後の恋になっている――。


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