鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
私が、課長を見る目を変えたこと。ううん、課長に惹かれてることなんて知るわけない。私自身もこんな短期間で驚いているくらい。だから課長は、苦手な自分と二人っきりではなく、唯野さんや比嘉さんを呼んでくれた。そういうさりげない気配りも素敵だとまた、胸が高鳴る。

課長は、自分を知ってほしいと一歩ずつ、歩み寄ってくれている。それなのに、私は自分の気持ちが動いているというのに、それを言葉にも態度にも出してはいない。


「美晴ちゃん、どうしたの?行くよ」

決めた。せっかく課長がくれたチャンスを無駄にはしたくない。私も、課長に一歩ずつ歩み寄りたい。せめて、今は課長のことが苦手ではないということだけでも伝えたい。

「あそこのだし巻きととりマヨが美味しいのよね」

今から行くお店は唯野さんと比嘉さんがよく行くという行きつけのお店らしい。松ヶ崎で待ち合わせにしたのは、地元の唯野さんと比嘉さんのため。そういう配慮も出来るなんて課長はやっぱりすごいな。


前を歩く唯野さんと比嘉さんの後ろを並んで課長と歩く。緊張して課長の方は見れず、足元ばかり見てしまう。


これじゃまた課長に誤解されちゃうのに。
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