鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
今日は朝から幸せな気持ちになれて心機一転、頑張ろうと思った。でも、始業時間と共に経理課に緊張が走った。



「おいっ、誰だ。この駅前店の売り上げの集計したやつは!!」



眼鏡を掛けた課長モードの時田課長の怒号が響き渡る。さっきまでとは違う別人の彼の手には一枚の紙。



珍しく私には心当たりがない。ただ、真っ先に疑わしいのは私。仕事が出来るわけじゃないし、私情で迷惑を掛けたりだってしている。
でも、駅前店は違う。私じゃない。


だけど、誰も名乗り出なければ、ずっとこの緊張感が続いて、ピリピリとしてしまう。こんなの正しいやり方じゃないかもしれないけれど、だけど黙っていられなかった。


「・・・課長、すみません。私です。私がやりました」


課長の前に名乗り出た。課長は、本当ならこんな風に怒鳴りたくもない、犯人捜しなんてしたいわけじゃない。だけどそれをするのが仕事だと思ってるはず。だからそれならその痛みを知っている私でいい。

誰にも課長を嫌いになってほしくない。
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