異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。


――ことの起こりはつい昨日のことだった。










「よしっ、土作り完了っ、と!」


あたしは額の汗をタオルで拭い、目の前に広がる畑の畝(うね)を満足して眺めた。

今は11月。晩秋の畑ではやることが少ないと思われがちだけど、土壌の改善などなかなか忙しかったりする。


「……で、アンタはまた土まみれなわけか」


畑を囲う柵の向こうかで呆れたように呟くのは、幼なじみで親友の鈴華(れいか)。

保育園からの12年クラスメートの腐れ縁で、あたしの趣味を理解する数少ない1人。


今は通う高校の制服である紺色のブレザーとプリーツスカートに身を包んでいる。栗色の髪は適度に巻かれ、軽くお化粧もする今どきの女子高生だ。


「朝っぱらから華の女子高生が土いじりって、どんだけ終わってんのさ」


「いいの! あたしは好きでやってるんだから」


鈴華とのこんなやり取りも毎朝の挨拶代わりだ。

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