異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



年末に近くなると、広場や道沿いで定期的に開催されるラトゥール。日本でいう二八市みたいなもので、年末年始……要するにお正月用品を販売する。


現代日本はお休みなく24時間どこかしらお店が開いてるけど、ここセイレスティア王国ではもちろんそんなお店はない。

年末年始は協同組合で温泉旅行に行くケースも多いらしく、 その時は商店街が丸っと休みになる。しかも年末年始の2週間。

困らないために買いだめする人もたくさんいて、大荷物を持った人ですごい賑やか。


石畳の路地に所狭しと並べられた品物はどれも珍しく、興味を掻き立てられた。


「うわ! なにこれ、お花?」

青色の透明なひらひらが重なった手のひら大のなにか。綺麗だから顔を近づけると。


『キフレイと言って、漢方薬になりますが。そのままだと猛毒ですよ』

「……は、早く言ってよ」


心臓がばっくんばっくんしちゃったし。

まあ、あたしの注意が散漫なのがいけないんだけど。ライベルトは以前にも忠告してくれたのにね。


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