*花は彼に恋をする*【完】

「…どうした?嬉し泣きか?」

翔英さんの唇が離れ

ポロポロ流れる私の涙を

優しく拭ってくれた。

小麦色の男らしい指と

腕から覗く紳士用の腕時計が

この人の魅力を引き立てる。

……大好きだから、嬉しいよ。

私は頷きながら

「…翔英さんが…私を好きだと
わかって…キス…嬉しい…。
想って貰えないって…諦めてたから。」

と、涙を流したまま

彼の瞳を見つめながら口を開いた。

「…俺も、嬉しいよ。」

翔英さんは頭を撫でながら

再び私をギュッと抱き締めると

「…まだ、詳しくは秘密だから
玲花に言えないけど
再来週…素敵な場所へ連れて行くから
楽しみにしててくれ…。」

そう言って

私のつむじや髪にキスを落とした。

「…はい、楽しみに待ってます。」

翔英さんと一緒なら

どこでも素敵な場所になるはず。

私は彼の背中に回した腕に

もう一度ギュッと力を込めた。

すると

彼もそれに応えるように

抱き締める腕に力を込めると

「…愛してるよ…玲花。」

と、耳元で愛を囁いてくれた。



その後

もう一度私達は見つめ合いながら

……優しいキスを交わした。
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